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本日の判例スポット(6)(2018.12.08)

 こんばんは。管理人です。なんとなく寒くなってきた気がします。

 さて,久しぶりですが,本日の判例スポットは,こちらー!。

サテライト大阪 サテライト大阪

 場外車券販売施設の設置許可に関する取消訴訟の原告適格で有名な最判平成21年10月15日民集63巻8号1711頁の舞台である,サテライト大阪に行ってまいりました。これまで紹介した判例スポットの中でも,近鉄奈良線,地下鉄堺筋線・千日前線日本橋駅から徒歩1分と極めてアクセスのよい場所です。

 事案としては,周辺住民やサテライト大阪から120m,180m,200m,800mの位置に立地する病院の医師が取消訴訟を提起したものです。判旨は,まず,小田急事件の一般則を引用したうえで,周辺住民については原告適格が否定しました。そして,医師については,位置基準の趣旨を考慮したうえで,「当該場外施設の設置,運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者は,位置基準を根拠として当該場外施設の設置許可の取消しを求める原告適格を有するものと解される。そして,このような見地から,当該医療施設等の開設者が上記の原告適格を有するか否かを判断するに当たっては,当該場外施設が設置,運営された場合にその規模,周辺の交通等の地理的状況等から合理的に予測される来場者の流れや滞留の状況等を考慮して,当該医療施設等が上記のような区域に所在しているか否かを,当該場外施設と当該医療施設等との距離や位置関係を中心として社会通念に照らし合理的に判断すべきものと解するのが相当である。」として,800mのところの人は原告適格否定,120mないし200mのところの人は考慮要素を判断すべく,差し戻されました。

 最初に挙げたように,サテライト大阪は,もとから交通の便も極めて良い大阪の繁華街に立地しており(南港と大違いです),交通量も人も多い場所で,場外車券販売施設が一つできたからといってそんなに来場者の往来や滞留で病院の運営に支障が生ずるのかなあと思う次第です。800m離れたところのお医者さんが原告適格を否定されるのもまあ仕方ないかという感じはします(そもそも日本橋から800m歩いたら優に隣の駅まで行けます)。また,差戻審において裁判所が,120m,180m,200mの位置のお医者さんについても原告適格はあるとしたうえで,許可は適法としたのもまあ納得できそうな気はします。

 原告適格の判例は具体的に場所を見ないとイメージがつきにくいですが,サテライト大阪事件は実際に現地を見に行くと,よりイメージの湧く事件といえるでしょう。