書評>仲島ひとみ(野矢茂樹監修)『大人のための学習マンガ それゆけ!論理さん』
『大人のための学習マンガ それゆけ!論理さん』
【書誌】
- 著者:仲島ひとみ(野矢茂樹監修)
- 発行所:筑摩書房
- 出版年:2018年10月30日(第1刷)
- 定価:1,650円(本体1,500円)
- ISBN:978-4-480-84317-3
コメント
本邦初(?)の論理学のマンガ(とはいえ野矢先生監修で,文章も付いている)。マンガの部分は高校の国語の先生である著者が描いておられるようです。
命題と真偽から始まり,述語論理まで,論理学の基礎的な部分について,ノヤカメキ先生と生徒たちの会話を通して概観しています。演繹の中に隠れた前提があるのではないかという章なんかは,論理学というにとどまらず,日常で物事を考えるときにも役に立つような内容です。
また,野矢先生の本ではよくあることですが,本書も演習問題がついています。時にマンガの人物が出てくる具体的な文章で,これは命題なのか,この命題の逆,裏,対偶は何か…とその章で扱ったトピックを確認することができます。内容の確認にもってこいです。
そして,野矢先生が一押ししているところでもありますが,マンガというだけあり結構面白いです。クスっと笑うところも多く,バーッと一気に読めてしまいます。論理学の他の本にはない特徴だと思います。町田市民であることは神奈川県民であることの必要条件でも十分条件でもなかったり,ドラマの告白の場面で「君だけいればいい」の後にああなるとシュールだったり…(マンガの内容は各自ご確認ください)
論理学のさわりの部分だけではありますが,高校数学の論理がどうもとっつきにくいという人や,論理学ってどういうものなのか関心がある人は,本書を手に取ってみて,面白そうだと思ったら巻末ブックガイドを参考に類書に飛んでみてはいかがでしょうか。
(そういえば読んでてショッキングだったんですけど,「私のことは嫌いになってもAKBのことは嫌いにならないでください」ってもはや古いんですね())
by Q.Urah