書評>『弁護士「好きな仕事×経営」のすすめ―分野を絞っても経営を成り立たせる手法―』

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【書誌】

コメント

 50,60期代の気鋭の弁護士がいかに経営しているか,それぞれがそのエッセンスを記した一冊。

 とある場所で接する機会があり,一読したのでコメントすることに。本書の内容は,特色のある業務分野に最前線で関わられ,事務所経営に携わっている先生方が,特殊な分野を手掛けながらどのように経営を成り立たせていくのか,それぞれの経験に即して執筆したものです。13人の先生方の事例に加え,5人の先生方のコラムが用意されています。

 読んでいくと,かなり特殊なところから,一見扱われていそうだが実はそうでもないというようなレベルまで,いろいろなものがあります。例えば,労働問題を扱うといったらよくありそうですが,指宿先生の労働者側専門+外国人在留資格という形になると,一気に特色が出てくるように思います。また,芸能・エンタメ関係も,事務所側の弁護ってやってるとこあるよなあと思っていたら,芸能人側でやっているということで,佐藤先生の業務も特色が表れています。一方,福祉犯中心の弁護士というと(Twitterのインパクトを差し引いても)奥村先生が出てきて,カルト問題に関わるというと山口先生・紀藤先生が出てくると,「この分野と言えば」的なものも含まれています。そして,それぞれの先生の仕事への向き合い方など,刺激的な内容が盛りだくさんだといえます。

 先生方の経験に基づいて書かれているので,それを自分がどこまで活用できるかというところは,(わたくしが修習生であるからかもしれませんが,)なかなか別途難しい問題があるように感じます。どこまで,どのように一般化するか(できるか),というのが本書のような書籍の課題なのでしょう。もっとも,安井先生の記述部分にあるような,他の業種の方との関わり方など,そのまま意識できそうな部分もあるので,そういう点はどんどん活用していけると思います。

 対象読者は,独立を考えているor独立した弁護士を想定しているように思います。しかし,修習生やロー生にとっても,いろいろな働き方があると視野を広げるという意味において,また,積極的な先生方のお話から刺激を受ける機会として,よい一冊なのではないかと感じました。

 ところで,著者でTwitterやってる人の割合がやけに高い気がするのは気のせいでしょうか…?

by Q.Urah