書評>江頭憲治郎『株式会社法(第7版)』

『株式会社法(第7版)』

bookcover

【書誌】

コメント

 言わずと知れた江頭会社法です。

 「江頭差分」という恐ろしい企画をなさっている先生がいらっしゃるので,詳しい書評はそちらをご覧になるのが良いと思います(まるなげ)(丸投げしたくなるほど充実した記載で,正直自分で書く気がなくなりました())。

 会社法全体(とそれに関連する税制等)を体系的かつ詳細に記した一冊です。会社法分野において,江頭会社法はデファクトスタンダードといっても過言ではないと思います。会社法に関する論点を扱う際には,とりあえず江頭会社法に書いてあることは参照することになるので,個人で蔵書しておく価値があると思います。第7版では,「平成29年民法(債権関係)改正,平成29年税制改正(スピンオフ税制の導入,組織再編税制の改正),コーポレートガバナンス・コード,スチュワードシップ・コード等に対応した。」(有斐閣HP)と紹介されているように,消滅時効の起算点(481頁)など,近年の情勢を反映した記載もなされており,価値が高い一冊といえます。また,充実した注釈は必見です。

 本書の弱点というと,多くの人が述べているところではありますが,索引がどうも弱いところです(たぶん研究者や法曹関係者から一口100円で募金を集めたら,索引を充実させるための費用は余裕で集まると思います。)。目次等から大体この辺に調べる事項が書いてあるだろうという形で使う必要が生じるので,相当程度慣れないと,本書を辞書として使うのも難しいのではないかと思います。

 何はともあれ,本書は議論の際必ず参照されるものであることから,手許においておくべき一冊であるとは思います(令和元年改正もあったことですし,そろそろ第8版が来るのではないかと思うところではありますが)。

by Q.Urah