書評>池上俊一『お菓子でたどるフランス史』

『お菓子でたどるフランス史』

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【書誌】

コメント

 駒場でパスタの講義を行っていることに定評のある池上先生のジュニア新書第2弾。

 今回は「お菓子でたどるフランス史」ということで,スイーツパート71期支部長としては読まざるを得ない一冊のようです。お菓子とフランス史というのを,どう結び付けて書くのか興味深く拝読しました。

 「パンがなければケーキ(以下略)」というのが有名なように,近世・近代以降の話なのかと思ったら,ケルト人・フランク人が入ってきたような頃から,フランスとお菓子の関係を論じることはできるようです。また,初期のキリスト教との結びつき,はちみつを入れて甘くなったというようなことも書かれており,そういう時代からお菓子とフランス史を結び付けて論じられるのかと感じられました。

 お菓子という軸をもって,中世以前から,現代までの通史が描かれています。ナポレオンもその偉業を示そうとして,絵画に書かせたり書物に書かせたりしたのみならず,お菓子を作らせた(ピエス・モンテ)とか,『三銃士』とか『モンテ・クリスト伯』で有名なアレクサンドル・デュマが実はプロ顔負けの料理人だったとか,いろいろなエピソードを通し,フランスの歴史に接することができます。また,フランスというとオシャレというイメージがあるように思いますが,お菓子も「フランスの精髄」・フランス文化の一角を担う,フランスのイメージを支える重要な存在なのだと感じました。

 お菓子という身近なものと,フランスの歴史・戦略といったものの結びつきが感じられ,興味深い一冊です。お菓子好きの方は読んでみていい一冊だと思います。

 そういえば池上先生の奥様が「スイーツ・パトロール隊」なるものを結成されているらしく,これも略すとすいぱだなあと思った今日この頃です・ω・

by Q.Urah