書評>田中泰延『読みたいことを、書けばいい。』

読みたいことを、書けばいい。

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【書誌】

コメント

 元電通マンの「青年失業家」による,書くための考え方を示した本。行きつけのたこ焼屋さん(たこばさん)が勧めていたので,買ってみることに。

 全4章の23個の項目から,文章(文書ではない)を書くための考え方を示しています。4つの章はそれぞれ,なにを書くのか,だれに書くのか,どう書くのか,なぜ書くのかという点に対応していることになっています(とはいえ,どう書くのかという点は,具体的な書き方というよりは,書くに当たっては一次資料の調査が必要であることなどが書かれています)。こちらの記事やTwitterで「#読みたいことを書けばいい」と検索されると,著者のコメントや他の方の感想も読めます。

 全体的にユーモラスな書きぶりであり,一気に読める内容です。文章を書いて稼ごうとかそういうことを考えている人の認識をいい意味で壊してくれる一冊だと思います。また,文章で用いる用語の定義をしっかりしておくという点や,一次資料からしっかりと調査するという点は,文書の作成に当たっても同様に重要になる点であり,文章術を求めていない人にとっても,示唆があると思います。

 もっとも,「文章術」に関する本として売られているからといって,ハウツー本的な内容を期待すると裏切られます(「文章を簡単に上手に書く方法が述べられていないといけないのではないか」という問いに対しては,170頁で一言で解答されており,実際そうなのだと思います。本記事で紹介しておいてもいいのですが,そこはご自身でお確かめください。)。この点は注意が必要かと思います。

 ユーモラスな一冊であり,読み物としてバーッと読む分にはよいのかと思います。

by Q.Urah